抹茶セレクトショップ
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畳に、新しい光を——伝統を編みなおす「大江畳」の挑戦

今回、抹茶セレクトショップにもご参加いただきました「大江畳」様にインタビューをさせていただきました。 長年にわたり地域に根差した畳づくりを続けながら、今ではSNSやオンラインショップを活用し、現代の暮らしに寄り添うミニ畳雑貨や空間提案など、新たなアプローチで日本の伝統を発信されています。

畳職人歴25年。大江さんが語る畳への想い、畳文化を次世代へつなぐための工夫、そしてこれからの挑戦について、お話を伺いました。

 


 

創業から現在に至るまでの御社の歴史を少し教えていただけますか?



 

「大江畳」は先代であるお父様が創業し、大江さんは二代目。もともと別の会社で働いていたものの、退職後に家業を継ぎ、畳職人としての道を歩み始めました。それから25年、変化する時代の中で畳文化を守り続けてきました。

「当時は畳の需要も多かったのですが、今では和室そのものが減り、いわゆる“畳離れ”が進んでいます。そこで7〜8年前から、空間提案や雑貨づくりなど、別の形で畳の魅力を伝える活動を始めました」

SNSやホームページを活用しながら、現代にマッチした「小さな畳」を通じて、畳を見直すきっかけを生み出しています。



 

畳づくりにおいて大切にしていることは?



 

「“畳”という言葉は誰もが知っています。でも、中身や作り方まで知っている人はほとんどいません」

このギャップを埋めるため、大江さんは小さな畳の雑貨やアクセサリーを通して、畳の素材や製法、日本文化としての背景を丁寧に伝えています。



 

「茶道においても畳はとても重要です。器や茶筅を置くだけでも、空間が整います。大きな茶室がなくても、ミニ畳を使えば“和”の雰囲気を感じてもらえる。現代的なアプローチで価値を再発見してもらえればと思います」

 

 

 

畳そのものの違いや、他店との違いについて教えてください。



 

畳の品質を決めるのは、主に「イグサ(畳表)」の質。お米と同じく農産物であるイグサにはグレードがあり、用途によって使い分ける必要があります。

「例えば、茶室では上質なイグサを使い、お客様に不快感を与えないようにしています。子ども部屋と客間では、当然使い分けが必要です。昔の職人は当たり前にやっていましたが、今は見た目だけで選ばれることも多い」

もう一つの特徴は、「職人が直接売る」というスタイル。大江畳では、作るだけでなく、ホームページやSNSを通じて自ら販売も行い、お客様と直接つながっています。

「“丁寧に作って、丁寧に売る”ことが大切だと思っています」

 

 

 

今後取り組んでいきたいことはありますか?



 

「20代の方にもっと畳を知ってもらいたい。そのためには、テレビやYouTubeでは届かない人たちに向けたアプローチが必要だと思っています」

若い世代が家を建てる時に「一部屋だけでも和室を作ってみたい」と思えるような“畳のおしゃれな見せ方”を模索中だといいます。

「カフェやフィットネスといった女性が発信しやすい場所で畳を紹介したり、継続的な発信で“伝統が新しい”という感覚を持ってもらいたいです」

伝統を守りながら、今の感性で伝えていく。その工夫こそが、畳文化を未来へつなぐ鍵になるのかもしれません。